公募研究A02:B中間子崩壊でのCP非保存パラメータφ2の測定
代表 | 渡辺 靖志 | 東京工業大学大学院理工学研究
科 | 教授 | 素粒子実験 |
| | | | 以上1
名 |
研究の進展状況とこれまでの主な研究成果
Bファクトリー実験Belleによる「CP非保
存パラメータφ2の測定(公募研究A02-14046206)」は、高エネルギー加速器研究機構
の電子・陽電子非対称エネルギー衝突型加速器KEKBを用い、世界最強ルミノシティでの電子・陽電子衝突によって生じるB中
間子の崩壊を観測し、解析することによって行っている。
CP非保存パラメータφ1は既に精度よく測定され、K中間子以外の系で初めてCP非保
存を示したとして高く評価されている。
φ2の測定は、φ1の測定と同じく大変重要であるが、φ1のときとは異って再構成
すべき崩壊モードの分岐比が二桁近く小さく、しかもありふれた粒子であるπ中間子
であることから、バックグランドの詳細理解、効率的なカットの考案等が本質的に重
要である。
まずは、理論的な問題「ペンギン汚染」を気にせず、π+ π-の終状態のCP非対称を
測定した結果、統計精度が不十分ながら直接的CPの破れの兆候があることを発見して
発表した(文献(1))。
今後はさらにルミノシティを溜めて統計精度を上げるとともに、ρπの終状態などに
ついても解析を進めて行く(文献8)。
さらには、このようなCP非保存パラメータの測定においてバーテックス検出器(SVD)
が本質的に重要な役割を果たすことから、平成15年夏にインストール予定でアップグ
レード版(SVD2.0)の建設にも力を注いでいる。
研究成果公表の状況(主な論文等一覧)
(1). K. Abe, Y.Watanabe et al., (Belle Collaboration),
"Study of CP-Violating Asymmetries in B0 --> pi+ pi- Decays",
Phys.Rev.Lett.89:071801 (2002).
(2).
K. Hara, Y.Watanabe et al., (Belle Collaboration),
"Mesurement of the B0 - anti-B0 Mixing Parameter Delta M(D) using
Semileptonic B0 Decays",
Submitted to Phys.Rev.Lett.
(3).
A. Drutskoy, Y.Watanabe et al., (Belle Collaboration),
"Observation of B ---> D(*) K- K0(*) Decays",
Phys.Lett.B542:171-182 (2002).
(4).
K. F. Chen, Y.Watanabe et al., (Belle Collaboration),
"Measurement of CP Violating Parameters in B ---> Eta-prime K Decays",
Submitted to Phys.Lett.B.
(5).
T. Tomura , Y.Watanabe et al., (Belle Collaboration),
"Measurement of the Oscillation Frequency for B0 - anti-B0 Mixing using
Hadronic B0 Decays",
Phys.Lett.B542:207-215 (2002).
(6).
R.S. Lu , Y.Watanabe et al., (Belle Collaboration),
"Observation of B+- ---> Omega K+- Decay",
Submitted to Phys.Rev.Lett.
(7).
K. Abe, Y.Watanabe et al., (Belle Collaboration),
"Studies of the Decay B+- ---> D(CP)K+-",
Submitted to Phys.Rev.Lett.
(8).
A. Gordon, Y.Watanabe et al., (Belle Collaboration),
"Study of B ---> rho pi Decays at Belle",
Phys.Lett.B542:183-192 (2002).
(9).
S.K. Choi, Y.Watanabe et al., (Belle Collaboration),
"Observation of the eta(C)(2S) in Exclusive B ---> K K(S) K- pi+ Decays",
Phys.Rev.Lett.89:102001 (2002)、他
|