公募研究A01:超対称ヒグス粒子の探索
代表 | 両角 卓也 | 広島大学大学院理学研究科 | 助教授 | 素粒子理論 |
| 小平 治朗 | 広島大学大学院理学研究科 | 助教授 | 素粒子理論 |
| 本間 謙輔 | 広島大学大学院理学研究科 | 助手 | 素粒子実験 |
| | | | 以上3名 |
研究の進展状況とこれまでの主な研究成果
本研究では、CDF実験での超対称性ヒグス粒子の探索に関して、超対称性の模型によってヒグス粒子の生成確率や崩壊幅がチャンネルごとにどのように変わるかを高次補正やQCDのジェットの扱いを考慮して調べるのが主要な目的である。すでに、トップやW質量の精密測定とミューオンの崩壊幅に対するヒッグス粒子の高次補正の研究から標準模型のヒッグス質量の予測値が得られている。本研究では、まず、これらの標準模型のヒグス粒子の性質に関する基礎的な理論計算を確認する作業から開始した。超対称性模型に関しては、外部から講師を招き最小超対称ヒグス模型(MSSM)に関して理解を深めた。 ヒグスの物理の研究に関して広島大学でヒグス研究会を3日間にわたって開催し、理論、実験家を含む専門家を招いた。そこでなされた、主な研究報告は以下のとうりである。1.CDF RUNIIにおけるヒグス探索(実験) 2. ヒグスとシーソー模型 3.電弱バリオン数生成の条件を考慮した超対称ヒグス模型 (NMSSM) 4. 余剰次元のヒグスレス模型 5. パートン分布関数に関するQCDの側面6. イベントジェネレーター2が本研究グループによる報告である。研究会での報告を基に2,3,4の異なるヒグス粒子の理論的観点から実験的な探索にどのようなフィードバックが得られるかをさらに研究することにした。これらの模型はニュートリノ振動、ニュートリノ質量の存在やナチュラルネス、バリオン数生成の問題を解決しようという動機に基づいており、標準模型や最小超対称ヒグス模型の問題点を解決しているという意味で強い動機がある。 今後、この研究会でのCDFRUNIIの報告に対して、超対称性の模型に依存したヒグス粒子の生成崩壊幅や特徴的なシグナルを予測し、実験と比較できる結果を得ることが課題である。
研究成果公表の状況(主な論文等一覧)
(1) H. D. Kim, J. E. Kim, and T. Morozumi “A new baryogensis for baryogenesis living through electroweak era" Physics Letters B 616 (2005) 108-113.
(2) H. Kawamura, J. Kodaira et.al. “Unravelling Soft Components in the Shape Function for Inclusive B Decays” Progress of Theoretical Physics 113 (2005) 183-198.
(3) H. Kawamura, J. Kodaira et.al. “Soft Gluon Effects in Transversely Polarized Drell-Yan Process.” Nuclear Physics B (Proc. Suppl.) 135 (2005) 19-23.
(4) H. Kawamura, J. Kodaira et.al. “ B Meson Structure Function in the Heavy Quark Limit” Nuclear Physics B (Proc. Suppl.) 135 (2004) 56-60.
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