公募研究A06:クォーク・レプトン質量行列のフレーバー構造の研究
代表 | 谷本 盛光 | 新潟大学自然科学系系 | 教授 | 素粒子理論 |
| 中野 博章 | 新潟大学自然科学系系 | 助教授 | 素粒子理論 |
| | | | 以上2名 |
研究の進展状況とこれまでの主な研究成果
当研究プロジェクトの目標は、クォークとレプトンの質量行列のフレーバー構造を明らかにし、それらを統一するモデルを構成することである。今年度は、これまでの質量行列の研究成果に基づいて、ニュートリノ質量とフレーバー混合の新しい実験値を用い、ニュートリノ質量行列の構造を精密化した。さらに、この構造の理論的分析によりフレーバーの起源を推測し、理論の対称性等について検討をおこなった。その結果、以下のように、フレーバーの離散対称性や超対称性にもとづいたクォークとレプトンの質量行列の構成を実現することができた。
1 クォークとレプトンの質量行列の構造をフレーバーの離散対称性である D4、Q8から導出した。これらの理論から現象論的分析をすすめ、レプトンフレーバー混合Ue3の予測を行なった。 現在 S3対称性から質量行列の構造の研究をすすめている。
2 クォークとレプトンの質量行列の構造をヒッグスセクターまで含めて、超対称性とSO(10)大統一理論に基づき構成した。このモデルによりフレーバー混合の予言をおこなった。
3 レプトンの質量行列の構造を、現象論的に決める手法として、行列要素の一つがゼロで、さらに二つの要素の大きさが同じになるような行列パターン60種類を数値解析し、そのフレーバー混合の予言の特徴をあきらかにした。(論文準備中)
4 質量が変化するニュートリノモデルとダークエネルギーの関係を明らかにした。
研究成果公表の状況(主な論文等一覧)
(1) W. Grimus, A. Joshipura, S. Kaneko L. Lavoura, H. Sawanaka and M. Tanimoto, "NON-VANISHING Ue3 AND COS 2θ23 FROM A BROKEN Z(2) SYMMETRY" Nuclear Physics B713, 151(2005).
(2) M. Frigerio, S. Kaneko, E. Ma and M. Tanimoto, "QUATERNION FAMILY SYMMETRY OF QUARKS AND LEPTONS" Physical Review D71, 011901(2005).
(3) W. Grimus, A. Joshipura, S. Kaneko L. Lavoura and M. Tanimoto, "Lepton Mixing Angle θ13=0 with a Horizontal Symmetry D(4)" JHEP 0407, 078(2004).
(4) W. Grimus, A. Joshipura, L. Lavoura and M. Tanimoto, "Symmetric Realization of Texture Zero" Euro Physics J. C36, 227(2004).
(5) M. Bando, M. Obara, S. Kaneko and M. Tanimoto, "Can Symmetric Texture Reproduce Neutrino Bi-large Mixings?" Physics Letters B580, 229(2004).
(6) M. Honda, S. Kaneko and M. Tanimoto, "Seesaw Enhancement of Bi-Large Mixing in Two-zero Textures" Physics Letters B593, 165(2004).
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