STJとは
STJとは超伝導トンネル接合素子(
Superconducting
Tunnel
Junction)の略称で、極低温状態で動作する放射線検出器です。
赤外線からガンマ線までの放射線に対して感度があります。
他の放射線検出器と比較して、極低温に冷却しなければならないという取扱のしにくさがありますが、その代わりに優れたエネルギー分解能をもつ検出器です。
構造
STJは厚さ1nm程度の絶縁膜を2枚の厚さ20nm程度の超伝導膜で挟みこんだ形状をしています。
実際には、その上から全体に絶縁体を塗布し、読み出し用の配線を上下の超伝導膜にそれぞれ接続しています。
下の2つの図はSTJの構造を表わしています。
左図は俯瞰図、右図は断面図です。
薄紫が基板、緑が超伝導膜、黒が絶縁膜(トンネルバリア)、青が絶縁体、灰色が読み出し用の配線を表わしています。
左図では、絶縁体は省略して描いています。
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各部名称
1.ジャンクションデファイン(上部)
2.ジャンクションデファイン(下部)
3.アンダーレイヤー
4.コンタクトホール
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動作原理
STJは入射した放射線のエネルギーを測定します。
そのしくみは、以下の通りです。
1.放射線がSTJに入射し、光電効果で吸収される。
2.この際に得たエネルギーによって、超伝導膜中でフォノンの励起やクーパー対の解離による準粒子(電子)対の生成が起こる。
3.生成された電子がトンネル効果で絶縁膜(トンネルバリア)を通り抜け、電流として観測される。
放射線が入射していない時には電流は流れず、放射線が入射した時には放射線のエネルギーに応じた大きさの電流が観測されます。
エネルギー分解能
STJは、放射線からのエネルギー付与で生成された準粒子を電流として観測します。
そのため、準粒子の生成された数によってエネルギー分解能が決まります。
準粒子の生成数が多い=クーパー対が解離しやすいほどエネルギー分解能は良くなります。
超伝導膜に用いる金属によって、クーパー対の解離しやすさは異なります。
そのため、同じエネルギーの放射線が入射した場合でも、生成される電子対の数(=電流の大きさ)が違ってきます。
クーパー対が解離しやすいものほど、放射線のエネルギーを細かく電流の大きさに反映するため、エネルギー分解能が良くなります。
学生の書いたことなので、話半分で見て下さい。
2009.2.11