STJとは
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STJとは超伝導トンネル接合素子(
Superconducting
Tunnel
Junction)の略称で, ジョセフソン接合を利用した非常に優れたエネルギー分解能を持つ放射線検出器の一種である. STJは,二つの超伝導体を非常に薄い絶縁膜で弱く結合した構造を持ち,超伝導体の転移温度以下の極低温状態で動作させることによって, 超伝導体のエネルギーギャップ(2Δ)を単位とした入射粒子のエネルギーを測定を可能とする. 2Δは,Si のバンドギャップに比べると3桁以上小さい(Nbの場合)ので,STJは,半導体検出器に比べると圧倒的に優れたエネルギー分解能を得られると期待される. 超伝導体の種類によっては,近赤外線から軟X線まで領域に渡って単一光子のエネルギー測定が可能であり,実用的に用いられている.
構造
基本構造として厚さ数百nmの上下二枚の超伝導膜を数nm厚の絶縁膜(トンネルバリア)で隔てたSIS (Superconductor-Insulator-Superconductor)の構造を持つ. 上下の超伝導体には読み出し用の配線が接続される. 下の左図に俯瞰図,右図に断面図をそれぞれ模式図で表す. 薄紫が基板,緑が超伝導膜,黒が絶縁膜(トンネルバリア),灰色が読み出し用の配線,青は読み出し線と超伝導膜との絶縁用膜(左図では,省略)を表す.
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各部名称 1.超伝導膜(上部電極) 2.超伝導膜(下部電極) 3.アンダーレイヤー 4.コンタクトホール |
動作原理
超伝導体にはフェルミ準位のまわりにエネルギーギャップEg=2Δが存在し,Egは超伝導状態にある電子対(クーパー対)を解離させ常伝導状態にある二個の電子をつくることに対応する. 入射した放射線(光子)が超伝導体に落としたエネルギーは,超伝導体内部でフォノン生成やクーパー対解離を経て,最終的にクーパー対解離によって生成した準粒子(電子)と2Δ以下のエネルギーを持つフォノンとなる.この準粒子は,上下超伝導体に印加されたバイアス電位により,ポテンシャルバリアとなる絶縁膜を一方方向(上下非対称)にトンネルし,電荷の移動(電流)を生じる.この電荷は,放射線入射によって生成された準粒子の数に比例し,入射粒子のエネルギーを測定することが出来る.
エネルギー分解能
STJのエネルギー分解能は,放射線の入射によって生成された準粒子の数の揺らぎによって決まる.この揺らぎは,準粒子の数が多くなるにしたがって相対的に小さくなってゆく.したがって,準粒子を生成するためのエネルギーが小さい程,多くの準粒子を生成することが出来,エネルギー分解能も向上する.このため,超伝導体のエネルギーギャップ2Δが小さいものほどエネルギー分解能を高くするためには有利となるのではあるが,エネルギーギャップが小さいものほど転移温度も低くなるという問題もある.