宇宙史国際研究拠点・素粒子構造部門では, (1) ビーム衝突型の高エネルギー粒子加速器を用いた実験, (2) 宇宙背景ニュートリノを用いたニュートリノ崩壊探索, (3) 超弦理論 の研究を行っている。
(1) は,欧州原子核研究機構(CERN研究所)のLHC 加速器での陽子陽子衝突実験 ATLAS において,世界最高の衝突エネルギーでの素粒子反応の研究を行っている。 特に,ヒッグス粒子の性質の詳細な研究は,電弱対称性の破れと素粒子質量の起源を明らかにするとともに,素粒子標準理論を超える物理への手がかりを与える。 今後,LHC加速器のエネルギーおよび輝度の向上が予定されており,ATLAS 検出器も増強が必要となる。そのための粒子飛跡検出器の開発を行っている。
(2) は,ニュートリノがクォークやレプトンと比べてはるかに小さな質量を持つことに着目し,その質量の絶対値を決定して素粒子質量の起源を解明することを目標とする。 ニュートリノの輻射崩壊で生じる赤外線領域の光子を観測するために,超伝導接合素子(Superconducting Tunnel Junction, STJ)を用いた,高いエネルギー分解能を持つ光検出器を開発している。 将来は,宇宙背景ニュートリノの観測のために,ロケットおよび人工衛星を利用した実験を計画している。 なお,宇宙背景ニュートリノが観測されれば,素粒子物理学を超えて,宇宙論にも大きな影響を与える。
(3) は,素粒子が点でなく弦(ひも)であるという考えに基づき,重力を含めた素粒子の基礎理論を構築しようという研究である。 現在の素粒子標準理論は,相対論的な場の量子論をその枠組みとしているが,重力の量子論はまだ作られていない。 超弦理論はその可能性を持つ最も有力な理論である。
当部門では,これらの研究を通して,宇宙を構成する基本要素としての素粒子と,それらの間に働く相互作用について,その構造と本質を明らかにし,統一的な描像を得ることを目標とする。 ひいては,ビッグバンに始まる宇宙の最初期の歴史を解き明かすことにつながる。
受川史彦 | 素粒子構造部門 成果報告 | ||
13:00 - 13:20 | 武内勇司 | COBAND 実験概要 | |
13:20 - 13:40 | 八木俊輔 | COBAND 実験における SOI-STJ 開発1 | |
13:40 - 14:00 | 若狭玲那 | COBAND 実験における SOI-STJ 開発2 | |
14:00 - 14:20 | 坂井 誠 | COBAND 実験における校正用遠赤外光源開発 | |
14:20 - 14:40 | 武政健一 | COBAND 実験における Hf-STJ 開発 | |
15:00 - 15:15 | 佐藤構二 | ATLAS 実験の概要 | |
15:15 - 15:40 | 大川英希 | ATLAS 実験におけるヒッグス・電弱セクターでの新物理探索 | |
15:40 - 15:55 | 永田和樹 | ATLAS 実験における重心系衝突エネルギー8 TeVでの陽子-陽子衝突のデータを用いたトップクォークとボトムクォークに崩壊する荷電ヒッグス粒子の探索 | |
15:55 - 16:10 | 伊藤史哲 | LHC ATLAS 実験における b クォークの湯川結合の測定 | |
16:10 - 16:25 | 笠原宏太 | New physics searches in Z + MET events | |
16:25 - 16:40 | 萩原睦人 | Charged Higgs in Run 2 | |
16:55 - 17:15 | 池上陽一 | HL-LHC 内部飛跡検出器増強 全体像 | |
17:15 - 17:30 | 佐藤和之 | HL-LHC へ向けたピクセル検出器のビームテスト解析 | |
17:30 - 17:45 | 岩渕周平 | HL-LHC ATLAS 実験用シリコンストリップセンサーの放射線耐性評価 | |
17:45 - 18:00 | 和田 冴 | Measurements of LGAD | |
18:00 - 18:15 | 大川英希 | HL-LHCに向けた HV-CMOS センサーの開発 |
受川史彦 | 素粒子構造部門 成果報告 | ||
13:30 - 13:50 | 武内勇司 | ニュートリノ崩壊探索概要 | |
13:50 - 14:10 | 武政健一 | Hf-STJ 開発 | |
14:10 - 14:30 | 木内健司 | SOI 極低温アンプ設計 | |
14:30 - 14:50 | 浅野千紗 | STJ 較正用遠赤外光源開発 | |
14:50 - 15:10 | 先崎 蓮 | SOI-STJ4 評価 | |
15:10 - 15:30 | 森内航也 | CRAVITY 製 Nb/AL-STJ 評価 | |
16:00 - 16:20 | 佐藤構二 | ATLAS 実験の概要 | |
16:20 - 16:50 | 大川英希 | ATLAS 実験におけるダイボゾン共鳴状態の探索 | |
16:50 - 17:10 | 永田和樹 | ATLAS 実験における荷電ヒッグス粒子の探索 | |
17:10 - 17:30 | 渕 遼亮 | ATLAS 実験におけるヒッグス粒子対生成の探索 | |
17:30 - 17:45 | 佐藤和之 | HL-LHC へ向けたピクセル検出器のビームテスト解析 | |
17:45 - 18:00 | 岩渕周平 | HL-LHC ATLAS 実験用シリコンストリップセンサーの放射線耐性評価 |